日本経済新聞 - 2009年10月16日
岐阜薬科大の原英彰教授は精神疾患の一つである統合失調症の原因となる新たな遺伝子をマウスの実験で見つけたと発表した。同大学など5大学と1研究機関による共同研究の成果で、発症の仕組みの解明や新薬の開発につながると期待している。14日付の米オンライン科学誌プロスワンに掲載された。
この遺伝子は細胞の成長や分化に関与し、細胞増殖因子「HB―EGF」と呼ばれる。前脳でHB―EGFが働かないようにしたマウスを作った結果、情報処理障害、コミュニケーション能力や記憶力の低下、運動量増加など、統合失調症の特徴的な症状がみられた。
これまでにも統合失調症の原因遺伝子はいくつか発見されているが、これだけ多数の症状にかかわる遺伝子はほとんどないという。研究グループは今後、医療機関と連携し臨床試験に取り組む。